「サイレントパイラー®」1号機が 日本機械学会の機械遺産に認定

世界に誇る機械遺産、日本を代表する機械として評価

2021.7.30 ニュースリリース

株式会社技研施工(本社:高知市、代表取締役社長:西川昭寛)のグループ企業・株式会社技研製作所(本社:同市、代表取締役社長:森部慎之助)が製造販売する杭圧入引抜機「サイレントパイラー®」の1号機「KGK-100A」が、一般社団法人日本機械学会の「機械遺産」に認定されることが30日発表されました。認定日は「機械の日」の8月7日です。認定制度は世界に誇る日本の機械遺産を明確化し世界に発信することなどを目的としており、認定は 113 番目。高知県では初の認定となります。本認定により、高知生まれの「サイレントパイラー®」が日本を代表する機械の一つとして認められたと言えます。

1975 年に誕生した同機は、創業者で同社代表取締役会長の北村精男が見出した圧入原理※ の実用化により、建設公害の元凶と言われた杭打ち工事の振動、騒音を一掃する工法を世界で初めて実現しました。機械はその後も進化、発展を続けており、圧入技術ならではのさまざまな優位性を背景に世界の建設課題を解決し続けています。

当社グループは今後も「サイレントパイラー®」を核に工法革命を推し進めるとともに、日本発、高知発の技術として、1号機をはじめとした圧入機やその歴史の発信にも注力していきます。

※ 既に打ち込まれた杭をつかみ、その引き抜かれまいとする抵抗力(反力)を利用して機体を固定し、油圧による静荷重で次の杭を押し込む原理。打撃式や振動式の杭打ち機と異なり、周辺住民や環境に影響を与える振動、騒音を発生させません。杭を圧入すると機体を上に持ち上げる反作用力が働きます。例えば 100 トンの圧入力をかけた場合、通常ならば機体を固定するのに 100 トン以上の重量が必要となり、機械は巨大になってしまいます。一方、圧入原理を用いる「サイレントパイラー®」は自重に頼らずに反力を活用して機体を固定するため軽量、コンパクト。都市部や住宅地でも建設公害を出さずに施工できます。

■機械遺産
日本機械学会が 2007 年から認定を始めました。カテゴリーは4種あり「サイレントパイラー®」は「Collection:保存・収集された機械」で認定を受けました。これまでに日本初の動力織機「豊田式汽力織機」や国産初のブルドーザー「コマツブルドーザーG40(小松 1 型均土機)」、戦後初の国産旅客機「旅客機YS11」、純国産技術による日本初の油圧ショベル「油圧ショベルUH03」など、時代を切り拓いてきた名だたる機械が認定されています。

認定にあたっては、「機械技術の『発展史上』重要な成果を示すもの」「機械技術で『国民生活、文化、経済、社会、技術教育』に対して貢献したもの」のいずれかへの合致が条件となっています。

機械遺産に認定された
サイレントパイラー®1号機
「KGK-100A」

■KGK-100A
【開発の背景】

戦後の高度経済成長期、建設ラッシュに沸く日本において工事の振動・騒音は大きな社会問題となっていました。中でも打撃や振動を用いる杭打ち機はその騒音や揺れが住民生活を著しく害し、建設公害の元凶と言われていました。当社会長の北村精男が「公害対処企業」を掲げて前身の「高知技研コンサルタント」を創業したのはそんな最中のことです。振動や騒音を出さない杭打ち機を国内外で探したものの実用的なものは見つからず「自分でつくってやろう」と一念発起したのが始まりでした。

【圧入原理の発見】
北村が圧入原理を発見したのは、創業前にある工事現場で目撃した出来事がきっかけでした。それは、地中深く打ち込まれたH鋼に穴を開け、そこにピンを通して引き抜く際、H鋼が穴から上に向かって裂けた光景。この時、杭にまとわりつく地盤の抵抗力のすさまじさに大きく驚かされました。
既に打ち込まれた杭を数本つかめば地球をつかんだことになるのではないか―。強大な抵抗力を使って機体を固定し、静荷重で杭を押し込む圧入原理は、北村が偶然目にした光景から見出されました。

【1号機の誕生、2号機の現場デビュー】
1973 年、北村は後に「高知のエジソン」と称される故垣内保夫氏とともに圧入原理の実用化に着手しました。幾多の困難を乗り越えながら「サイレントパイラー®」の 1 号機が完成したのは 1975年7月。北村、技研、垣内のアルファベットの頭文字と圧入力のトン数、初号機であることから「KGK-100A」と名付けました。翌年には改良を加えた2号機が現場にデビューし、取材に訪れたマスコミや近隣住民を驚かせます。当時の高知新聞の記事には「これは静か!」とイノベーションを伝える見出しが躍っています。

1号機の初めての試験施工の様子

サイレントパイラー®の静かさを伝える高知新聞の記事(1976 年)

【1号機と当時の打撃式杭打ち機の騒音比較】
当時の打撃式杭打ち機とKGK-100Aの音圧レベルを計測した結果は、打撃式が100㏈、KGK-100Aが55㏈でした(計測距離10m)。 100㏈は電車通行時のガード下と同じ音のレベルで聴覚機能に異常をきたすといわれています。一方、55㏈は日常会話程度のレベルといわれています。

【機械概要】

質量13,000㎏最大圧入力1,000kN
全高5,250㎜最大引抜力1,000kN
全幅1,050㎜適用杭材U形鋼矢板 400mm 幅
全長2,500㎜

■所感
【無振動、無騒音のほかにも多様な価値を提供】

圧入原理と「サイレントパイラー®」がもたらした価値は無振動、無騒音や「省スペース施工」に限りません。作業用仮設工事を不要とする「仮設レス施工」、機体が既設杭をしっかりつかんでいることから実現できる「安全性」、力点が杭先端に近いことに起因する「高精度施工」――。多様な優位性とそれらを生かした新工法を背景に、世界でオンリーワンの建設ソリューションを提供しています。
工事工程を減らす仮設レス施工は工期、工費の縮減だけでなく、脱炭素にも大きく貢献します。また、自動運転技術もめざましく進歩しており、杭打ち機の自動化では最先端を行く自負があります。

【高知を世界の“圧入のメッカ”に】
「サイレントパイラー®」はこれまでに 3600 台以上が生産され、圧入技術は世界 40 以上の国と地域で採用されています。同社は高知本社内の「世界杭打ち機博物館」にて1号機を含む歴代の「サイレントパイラー®」や他方式のさまざまな杭打機を展示しています。現在、それらや圧入技術の優位性、歴史を世界に発信する施設の整備計画を進めています。機械遺産認定を弾みとし、「サイレントパイラー®」が生まれた日本、そして高知を世界の“圧入のメッカ”としてPRしていきます。

一般社団法人日本機械学会「機械遺産」特設サイト
https://www.jsme.or.jp/kikaiisan/#section1

 


■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー®」を製造開発し、 その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は世界の建設課題を解決しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


 

【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所 経営戦略部
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林
東京本社/東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階
TEL:080-3712-7614 広報担当:吉野
E-mail:info_plan@giken.com
ホームページURL:https://www.giken.com/ja/